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「湿地」

「湿地」 「湿地」

この度22:00画廊ではグループ展「湿地」を開催いたします。

不快指数という言葉があるように、日本の梅雨の特徴である"湿気"は、ネガティブな印象をもって語られることが多く感じます。たしかに、食パンはかび、髪の毛はうねる。たまの晴れ間に出掛けたものの、にわかに雨が降ってくる。諦めて傘を差さずに歩くとき、何かから解放された不思議な快感を得ることがあっても、雨が上がり、我に返るとべったりと肌に張り付いた服に何ともいえない居心地の悪さを覚えます。

そういえば、この「感覚としての居心地の悪さ/ 不気味さ」を、一部の美術作品から受け取ることがあります。それは、決して情念めいたものではなく、内省的な痛さを感じさせるものでもありません。視線にまとわり付くある種の"気配"のようなものです。電柱が人影に見えて、ドキッとするような──頭で分かっていても、ずっとそれに監視されているかのような、居心地の悪さです。

しかしこのような感覚は、今までとるに足らないものとして無視されてきたきらいがあります。いや、様々な感覚と混同されすぎて見えなくなってしまった、と言う方が正しいでしょうか。

本展は、気配をテーマに制作を行う4人の作家の作品を通じて、日本の気候の持つ「湿気」を、一つの知覚の軸として定義しなおす試みです。

吉田 諒


「私は一歩沼の中に足を踏み入れた。そして、黒い水の中央に、同じ黒さで浮かんでいる、一つの岩をめがけて、静かに泳ぎ初めた。水は冷たくも暖かくもなかった。油のようにトロリとして、手と足を動かすにつれて、その部分だけ波立つけれど、音もしなければ、抵抗も感じない。私は胸のあたりに、二筋三筋の静かな波紋を描いて、ちょうど真白な水鳥が、風なき水面をすべるように、音もなく進んで行った。やがて、中心に達すると、黒くヌルヌルした岩の上に這い上がる。その様は、例えば夕凪の海に踊る人魚のようにも見えたであろうか。」( 江戸川乱歩『 火星の運河』 より)

不快指数という言葉があります。日本の梅雨から秋にかけての気候の特徴である蒸し暑さには、"不快"指数という言葉が示すように多くはマイナスのイメージがつきまといます。すべての生き物は水の中から生まれました。故郷である水の中で私たちは重力から解き放たれ、心身をのばすことができます。しかし、その水が陸上にいる私たちを包む大気の中に溢れたとき、それは不快な存在となるのです。大切なのは身を委ねることです。入ることを躊躇するような森の中の濁った沼でも、一度肩まで浸かりプカプカと浮かびながら空を見上げれば、その黒い水が愛おしい存在になるでしょう。ジメジメとしたその空気に一度芯まで身を委ねるのです。表現媒体の異なる4 人のアーティストが織りなす 「湿度」 。日本の雨期の輪郭を浮き上がらせます。

三原 回







「湿地」 井上光太郎・三原回・望月俊孝・吉田諒

日時2014/6/14 (土)  -  7/12 (土)

休廊日月、火、水曜日

時間18:30 - 22:00 (6/14・6/15は12:00 - 22:00)

会場22:00画廊

住所東京都小平市小川町1-776-18
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<イベント情報>

● 6/14(土)19:00 -  参加費 無料
オープニングパーティー&アーティストトーク 司会:井上光太郎

● 6/28(土)19:00 -  参加費 ¥500
トークイベント 「しめっぽい話vol.1 ~日本の服飾・建築からコンテンポラリーアートへ~」 ゲスト:鈴木広志(アーティスト)

鈴木 広志 / Suzuki Hiroshi  1986年埼玉県生まれ。文化服装学院卒業後、アントワープ留学を経て舞台衣装デザイナーに師事。その後現代美術に転向。主な個展 に、「スクいのlAST rESORT / Salvation of the lAST rESORT」(XYZ collective)。主な参加展覧会に、「¥2010 exhibition -Summer-」(同時代ギャラリー)、「Creative Fantasista 2011」(PARERGON名義)(VACANT)、「THE TOKYO ART BOOK FAIR 2011」(ZINEPORT名義)(3331 ARTS CHIYODA)など。

● 6/28(土)22:00 -  参加費 ¥500
オールナイトイベント 「不寝番」
トークイベント 「しめっぽい話vol.1 ~日本の服飾・建築からコンテンポラリーアートへ~」にご参加いただいた方は無料でご参加いただけます。


● 7/ 6(日)19:00 -   参加費 ¥500
トークイベント 「しめっぽい話vol.2 ~日本近代美術と漫画・映画の場合~」 ゲスト:三上豊 (編集者/和光大学教授)

三上 豊 / Mikami Yutaka   1951年東京生まれ。和光大学人文学部芸術学科卒。映画業界での仕事を経て、美術出版社『美術手帖』編集部に11年間勤務後、フリーのエディターとして過ごす。スカイドアの美術書、季刊美術雑誌『CAR』の編集を担当。小学館で『世界美術大全集西洋篇』、『日本美術館』、『西洋美術館』、『週刊美術館』などの編集に関わる。一方、画廊史のドキュメンテーションを手掛け『資生堂ギャラリー75 年史』の編集に参加。並行して貸画廊の記録集を作成、これまでに『ときわ画廊1964-1998』、『秋山画廊1963-1970』、『日辰画廊1979-2002』、『靭ギャラリー1978-1985』を制作発行している。他近編著書に『ちょっと知りたい美術の常識』 (アートクイズ ベーシック編) 、『キース・ヘリング/ぼくが信じるアート。ぼくが生きたライフ』(中村キース・ヘリング美術館)、『横浜トリエンナーレ2008 カタログ』、 『世界に誇れる日本の芸術家555』、『アプローチング プライミーバル エナジー(原始のエナジーに向かって)/杜のなかの美術館』、『恩地孝四郎研究/版画のモダニズム』、『国際交流基金展覧会記録 1972ー2012』など。2000年和光大学表現学部芸術学科に着任、現在に至る。
http://www.wako.ac.jp/art/i/?page_id=894
夢ナビ講義ライブ2012 /三上豊先生- YouTube
夢ナビ講義ライブ2013 /「絵を見る、絵を知る、絵を学ぶ」/三上豊先生- YouTube
夢ナビ講義ライブ2013「作品を語る言葉をもつことが表現への道をひらく」三上豊先生
「美術図書の編集について」ゲスト:三上豊/web complex編集部



※各イベント予約不要(定員に達した場合、入場を締め切らせていただくことがございます)



会場風景

撮影:望月俊孝
撮影:望月俊孝

井上光太郎 / Inoue Koutaro

1982年鳥取で生まれ、主に奈良で育つ。橿原学院高等学校美術科、大阪美術専門学校絵画専攻にて美術を学ぶ。2003年の不二画廊での個展が初の作品発表となる。現在は東京を中心に活動。
主な個展:2013年 「暗沌光幽」(GALLERY MoMo Ryogoku / 東京)、2010年 「エンドロール・ガーデン」(SANAGI FINE ARTS / 東京)、「サンデーモーニング、湿った夢の続き」(新宿眼科画廊 / 東京)、2008年 井上光太郎公開制作展 「影の時間、浮き出た雨模様」(ギャラリーはたなか / 大阪)、2007年 「白い時間、夢うつつ」(ギャラリイK / 東京)、「彼らは今日も影夢の続きを見ている」(ギャルリー・ウー / 大阪)、2005年 「皆が寝静まった頃、パーティーは開演する」(ギャラリー白3 / 大阪)、2003年 「井上光太郎展」(不二画廊 / 大阪)
主なグループ展:2013年 「Winter Show」(KOKI ARTS / 東京)、「夜水鏡みがかず見るよ - 死と詩 - 」(TOKIO OUT of PLACE / 東京)、2012年 EMERGING DIRECTORS' ART FAIR 「ULTRA005」(スパイラルガーデン / 東京)、「心霊写真展」(22:00画廊 / 東京)、「トーキョーワンダーウォール公募 入選作品展」(東京都現代美術館 / 東京)、「The Catcher in the dark」(TOKIO OUT of PLACE / 東京)、2011年 「TOKYO FRONTLINE」(3331 Arts Chiyoda / 東京)、2010年 「シブヤスタイル vol.4」(西武渋谷 / 東京) 2014年 損保ジャパン美術賞「FACE2014」審査員特別賞受賞。他、個展・グループ展・イベント参加多数。
WEB http://www.koutaroinoue.com/

三原回 / Mihara Qay

1987年東京生まれ。2009年和光大学表現学部芸術学科卒業。既製品と電子音を用いたインスタレーション、他に映像や写真などをメディアに制作。主なシリーズに換気扇を用いた《Fan》、明滅する蛍光管を用いた《Flicker》、「死」との距離をコンセプトにした《死ぬのはいつも他人ばかり》などがある。2012年よりentaku名義でイベントの企画も行なう。
主な個展:2013年 「死ぬのはいつも他人ばかり」(float ・あをば荘 同時開催 / 東京)、2011年 「sample of view」(ASK?P / 東京)、2010年 「fragment」(表参道画廊 / 東京)、2009年 「Lab」(新宿眼科画廊 / 東京)
主なグループ展:2013年 「Resonance : 共鳴展 - 広がるアート、はじける科学 - 」(逗子文化プラザ / 神奈川)、2012年 「DAN T"EA - DESIGNTIDE > CHANOYU SIDE - 」(新宿伊勢丹 / 東京)、「ASK?映像祭2012 : デジタルフォトフレーム展」(ASK?P / 東京)、2011年 「中之条ビエンナーレ2011」(中之条町 / 群馬)、2010年 「大谷楽 / 白石諒男 / 三原回 - intermission - 」(ASK? art space kimura / 東京)、2009年 「Site / Sight - 若手アーティストとその魅力展 vol.2 - 」(市原市水と彫刻の丘[現・市原湖畔美術館]/ 千葉)
WEB http://mihalab.jp/

望月俊孝 / Mochizuki Toshitaka

1984年兵庫県生まれ。2007年東京藝術大学先端芸術表現科卒業。2009年東京藝術大学大学院映像研究科修士課程修了。日本独自の感覚 「気配」 をテーマに制作を行う。大学院修了制作《鳥ひっそりと一人、鳥籠のカドで》は、暗闇の中での虚ろな視覚体験「幻覚」 を、暗順応を利用して「質量のある映像」として再現し、高い評価を得た。現在、横浜を中心に活動中。
活動歴:2012年 「Guimarães noc noc」(ギマランイス / ポルトガル)、「HANOI × TOKYO × ART」(ハノイ / ベトナム)。2011年 「望月俊孝 - まねびおに - 」展(岡本太郎記念館 / 東京)、「岡本太郎現代芸術賞」展(川崎市岡本太郎美術館 / 川崎)。2010年 「続・続・続・続」展(市田邸 / 上野)。2009年 「Double Focus」(ZAIM / 横浜)、「ZAIM FESTA FINAL」(YCC / 横浜)、「Exhibition of Objects Under Observation」(Frantic Gallery / 茅場町)、「Media Practice 08-09」(BankART1929 / 横浜)。2007年 「Project the Projectors 2007」(カタクラ / 取手)。
賞歴:2011年 「岡本太郎現代芸術賞」岡本敏子賞(準大賞)受賞。2009年修了制作・東京藝術大学大学美術館買上。

吉田諒 / Yoshida Ryo

1987年東京生まれ。2011年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2011年 「武蔵野美術大学卒業・修了制作展」研究室賞受賞。
主な個展:2012年 「朝を待つための」(22:00画廊 / 東京)、2010年 「水素結合/ hydrogen bond」(ギャラリーきゃべつ畑 / 神奈川)
WEB http://yoshidaryo.tumblr.com/