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三木麻郁 個展
sink-sign-sing : 深く沈んだ信号が、私に詩を奏でている

三木麻郁個展「sink-sign-sing : 深く沈んだ信号が、私に詩を奏でている」

会期2013.11.17( 日 )-12.18( 水 )
休廊木・金曜日
時間18:30 - 22:00
会場22:00画廊
住所東京都小平市小川町1-776-18
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☆11月の作家在廊日/17(日)・23(土)・24(日)・30(土)
☆12月の作家在廊日/04(水)・07(土)・11(水)・14(土)・18(水)



<イベント情報>
「オルゴールによる読書夜会」 ( 20分程度 )
入場無料  ※要予約

・第一夜      11.23  ( 土 )  開場 21:00 ~ 開演 21:15 ~
・第二夜( 共演 )   12. 7  ( 土 )  開場 21:00 ~ 開演 21:15 ~
・第三夜      12.14  ( 土 )  開場 21:00 ~ 開演 21:15 ~

(( 内容 ))
2枚の紙が配られる。スコア(小説、あるいは随筆の一節)とコード表。
朗読するオルゴールの演奏会。

第二夜(共演)では演出家として、い・ひすん、スタイリストとして稲葉明李を迎える。

◆い・ひすん

ソウル出身
武蔵野美術大学卒業
loverunrun@gmail.com
lee-heeseung.tumblr.com
2013 武蔵野美術大学 卒業制作展「GESTURES」
2013 駆け出しタイアップ展 オープニングパフォーマンス @浅草橋天才算数塾

◆稲葉明李

武蔵野美術大学卒業
http://meiriinaba.tumblr.com/
2013 武蔵野美術大学卒業制作展 「hear there」
2013 駆け出しタイアップ展 @ 浅草橋天才算数塾

※御予約は、22:00画廊のメールアドレス(info@2200gallery.com)に、件名を「読書夜会」とした上で、
参加ご希望の日付・代表者氏名・連絡先・人数をお送りください。

プレスリリース


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三木麻郁さんが22:00画廊にて滞在制作され、寄せてくださったテキストです。

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①invention : 着想

言葉、数式、楽譜…子どもの時から、いつも何気なく読み解いてきた。

気が付けば記号言語に囲まれて生活している。

身の回りにあるものには全て何かしらの記号やコードがつけられていた。

しばしば、自分が彼らに翻弄されているのを感じる。

彼らと少し距離を持って接してみようと、客観的な態度を試みた。

そうすると記号言語そのものが、ひとつの「生命体」のように、とらえどころなく私の前に浮かびあがった。

私は彼らの発する声に耳を傾けて知覚しようとしている。

②翻弄の理由

活字化されることが殆どの今日、忘れてしまいそうだが、記号言語は全て「誰か」が「発信」した。

一旦発せられたそれらは、発信者から離れて世界を浮遊する。

何か別の意味が付加されたり排除されたりしながら、

その様子は「誰かに何かを伝える」という任務の全うを待ちわびているようにも見える。

何か別の意味が付加されたり排除されたりしながら、

私たちは記号言語に沢山の情報や感情を託す。(このステートメントがそうであるように。)

発信者が託した何かと裏腹に、時に受信者の身勝手なノイズがそれらを美しくも醜くもさせ、

共感、あるいは誤解を発生させながら、人と人との間を繋ぐ。

ナマモノだな、と思う。

③symphony:共鳴

10月も終りに近付く頃のこと。

少し冬らしい日の夜、誰も展示していない22:00画廊を久しぶりに訪れた。

不思議な温度が漂っていた。

まだ引っ越しして間もない、誰かがここで大切に生活していたような、なにかそんな気配があった。

隙あらば入り込もうとする木々の葉が猛烈な勢いで2階の窓を覆い、茂っている。

その窓際には植物模様の織りのソファが、木々の恋に応えるかように置かれていた。

画廊主が階段を軽く掃除してくれる。

そういう生活の気配のある場所でこれから展示をする。その意味を考えた。

私はこの木造家屋と共に生活をし、呼吸しなくては始まらないような気がした。


三木麻郁


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三木麻郁展の展評を、美術評論家である飯盛希さんに寄せていただきました。

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三木麻郁の代名詞となるであろうオルゴール作品は、独自のルールに従い、和音を日本語の「五十音」に対応させることで、テキストを音楽へと変換するものである。和音は等間隔に奏でられるが、意味との連関を剥奪され、独立した「音」の連続を、私たちは、ちょうど星と星とを結んで星座をつくるように、旋律として聴くことができる。「オルゴール読書夜会」と題されたパフォーマンスでは、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と、三島由紀夫『憂国』が「スコア」として演奏された。それら2つは単に文字列が異なるためにメロディの印象は大きく異なったが、前者は、童話さながら、想像力をかき立てるような詩的な印象を与えたのに対し、凄惨な切腹のシーンを描いた『憂国』は、やはり情景と同調するかのように、短調的に響いた。言葉と対応したオルゴールの音色が、純粋な音楽として聴かれることにより、私たちは、自身が「白紙」の状態に置かれていることを自覚すると同時に、偶然、あるいは恣意的とも言える、印象の一致に驚かされる。三木作品には、私たちの、経験主義的な、素朴な信念が認めようとしない、未分化の世界に対するア・プリオリな表象の存在を確信している様子が伺われるのである。


記号と、それに付与された意味との連関、すなわちシニフィカシオンを解体するような作業は、本に印刷されたすべての文字を指でこすり取る「音採集」シリーズにも見られる。それらの作品に対し、いくらかの既視感を禁じ得ないのは、剥き出しの「オブジェ」として記号を現前させる作品が、これまで数多の美術家たちによって試みられてきたからであろう。三木の制作を、それらと類似した、構造主義的な趣味の作品に列することは易しい。しかし、彼女は、多くの美術家とは異なる方法で、「物自体」をまなざしているのではないだろうか。


三木の作品は、印象派の絵画のようである。数式に取材した「mathematics」シリーズや、街角にあふれる様々な☆マークを収集した《遠い星を数えて》など、いずれのモチーフにおいても、とめどない無数の記号に対して、作家の「眼」を通して得られた印象が作品を貫通している。そこに表れているのは、パーソナルな「手」の感覚だけでなく、イメージの「宇宙」に対する表象の全体像を捉えた「アトラス」を描こうとするストロークである。彼女の関心は、形而上に横たわる、抽象的で、本質的な真理、すなわち「イデア」そのものを求めることではなく、むしろ、それに対する私たち人類のもつ表象に向けられていることだろう。その総体に質量を与えることこそが、この展示における三木の仕事であったと考えられる。


美術批評家・飯盛 希


会場風景

撮影:畦上咲子

パフォーマンスイベントの開催

三木麻郁展では、「オルゴールによる読書夜会」として、三木により作成されたスコア(小説、あるいは随筆の一節)とコード表を用いたオルゴールの演奏会を開催いたしました。イベントの様子は高嶋直人さんに記録撮影して頂いたものを掲載しています。


三木麻郁個展「sink-sign-sing : 深く沈んだ信号が、私に詩を奏でている」

<作家略歴>

三木麻郁 ■ Miki Maaya

1987年 大阪生まれ
2013年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻 卒業
2013年 東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻 入学
現在、同大学院在籍。東京都在住。

[ 展示・経歴 ]
2013年
・平成24年度武蔵野美術大学卒業・修了制作展(武蔵野美術大学/東京)
・個展 Ça va. 展(refectoire/東京)
・東京藝術大学大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修士課程1年 博士課程2年 ATLAS展(東京藝術大学取手校/茨城)

2012年
・3331アンデパンダン・スカラシップ展vol.2(千代田3331メインギャラリー/東京)
・グループ展 personal space 展(ギャラリー工房親/東京)
・グループ展 art hospitality 展(ギャラリー工房親/東京)

2011年
・千代田芸術祭2011 展示部門「3331 アンデパンダン」(千代田3331メインギャラリー/東京)

2010年
・上野の森美術館大賞展 (上野の森美術館/東京)

2009年
・NPO法人POSSE主催
 「GIVE PIECE A CHANCE2009」アート部門 (代々木公園/東京)

[ 受賞歴 ]
2013年
・平成24年度武蔵野美術大学卒業・修了制作展 研究室賞

2011年
・千代田芸術祭2011 展示部門「3331 アンデパンダン」 四方幸子賞

2010年
・第28回 上野の森美術館大賞展 入選
・武蔵野美術大学進級制作展 池田良二賞


三木麻郁HP→http://maayamiki.jimdo.com/