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河口遥「そんなにロマンチックな目つきをするな。」展

河口遥「そんなにロマンチックな目つきをするな。」

会期2012年6月9日(土) - 23日(土)(閉廊日:10日を除く日曜日)
時間18:30 - 22:00
会場22:00画廊
住所東京都小平市小川町1-776-18

<イベント情報>
6月18日(月) 18:30 - 22:00
パンづくりワークショップ
[1回目]18:30〜
[2回目]20:00〜
[3回目]21:30〜
※生地の管理が難しく、3回にわけて行なうことになりました。

6月23日(土) 18:30 - 22:00
クロージングパーティー

河口遥がこの展覧会に出展した作品は全て河口が結婚して離婚するまでの間に制作されている。映像・写真・彫刻・パフォーマンスなど表現方法はさまざまだが、表現のキッカケは河口と元夫との関係から生まれており、2人の関係が順調なとき・妊娠したとき・別れが近いとき、その時々の心の距離感がそのままダイレクトに表出されている。映像作品「あなたの写真なんか全然撮ってません」や「わんわんわん」は河口本人の顔をクローズアップで映し出しているが、カメラが向けられていない画面の外側に元夫が居て、彼による微かな応答の声が聞こえる。また、「3」と仮に名付けられた、河口の誕生日に撮影されたという河口・元夫・元夫の母による謎のゲームは、ルールが明かされないまま突然始まり、突然終わる。家族という制度そのものに言及することもなく、かといってゲームが特に重要なわけでもない。淡々と進められる登場人物同士の会話もあいまってか、家族というものさえある種のゲームのように感じてくる。「これらの映像は2度と撮り直しができないもので、現実にあったこと」と河口は言う。映像だけでなく、全ての作品が再現不可能な過去のある日の出来事なのだが、その重要性を全く感じさせないほど作品で表現されている行為は軽い。

テーマとしては決して軽くないこれらの作品に対して鑑賞者である我々はどのような感情を抱くのだろうか、という心の変化を河口は会場に居続けて観察しているかのようである。

パンづくりワークショップ

このワークショップは河口が学生時代に学内で開催した女性限定のワークショップ「まんぱん」を発展させたものである。まんぱんは、女性器のニオイがパンのスンスンするニオイと似ていることから発想され、パンの生地を自分の性器のカタチに塑像してそれを焼いて食べ、男性は焼いて食べ終わったあとの会場に漂う残り香を嗅ぐだけしかできないというものであった。

今回は参加者を女性だけに限定せず、また塑像するカタチも性器だけに限定せず、自分のカラダの一部をパン生地で塑像して焼いて食べた。

肉のパフォーマンスと展示空間の変化

「肉は食べるためだけのものではない」という河口の言葉は確かにそうではあるのだが、現実として食べる対象として我々が認識している肉を弄ぶ、ある意味では暴力的なその河口の振る舞いを会場に偶然居合わせた者たちで共有することになる。

生肉のニオイが部屋を満たし、肉と関係のない話しをしていたとしても、常に肉のことに意識が引き戻される。河口によってもてなされる料理は、その肉の一部であった肉を煮込んだもの。胃袋というカラダの内側にまでその肉を宿し、鑑賞者は会場をあとにすることを強要される。展示期間中、会場は変化し続け、河口と鑑賞者の対話の痕跡が強烈なニオイと共に残った。

最終日、初日は大きな塊であった肉の、腐った部分を削ぎ落とし続けたことによって小さくなってしまった肉を会場内で焼き、河口は文字通りその肉を自らのカラダの一部とした。

撮影:斎藤玲児(45〜47・51枚目)原田裕規(30・36枚目)原田賢幸(他)

河口遥 KAWAGUCHI Haruka
1985年 千葉県生まれ
2010年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業

個展///
2012年 「そんなにロマンチックな目つきをするな。」22:00画廊/小平市, 東京都

主なグループ展///
2012年 「開館記念展示〜青梅ゆかりの名宝展」 国立奥多摩美術館/青梅, 東京都